時系列データは原則として常に変動しています。図J-1にB社の売上高推移と対前年比倍率を示します。倍率は成長率という言い方もあります。売上高は当初の約1000倍ですが、変動率はマイナス0.7~プラス2の範囲にあります。
この変動率を分析します。
変動率全体が時間推移とともにどのように傾向が変わるのかを分析します。
この例では、3期に分かれて特性が変化し、33期以降は安定化している様子が見られます。
図J-2から、変動率自体も変動していることがわかります。そこで、変動率がどのような統計的特性を持つのかを分析します。この例では安定期(33期~51期)の変動率分布を調べたものです。変動率は正規分布に近い特性を持っていることがわかります。ここから分布の特性値(平均値、標準偏差、その他)を求めます。
この分布特性値は分析する対象ごとに異なり、必ずしも正規分布とは限りません(金融データなど)。
注 : 分布の種類は専門的な方法で判定します。
図J-4はB社売上高推移グラフに変動パターン特性分析を行ったものです。赤線および青線はパターン分析のための補助線です。
成長期に入る時、低迷期に入る時、ともに特徴的な補助直線交差(赤線が青線を同じ方向に急激に追い抜く)が見られます。このことから、時系列データに繰り返しパターンが内在することが示唆されます。また、赤線が上端に張り付く連続期間が、創業期を除いて最大4期となっています。このことから、来期以降はよほどのテコ入れが無いと上端維持は難しいのではないかという予想が可能となります。