事業目標の設定などに関して、将来予測などをより確からしいものにするために、ある前提のもとにおこなうのがシミュレーションです。図S-1は中期事業計画のシミュレーションイメージです。数年間の売上高トレンドを基に今後3年先までの事業目標を設定することが目的です。 参考:事業計画評価例
まず数年間の変動特性分析の結果を使って幅のある実現範囲を見極めた上で、今後の投入リソースなどを考慮したシミュレーションを行います。
従来のトレンドを外挿し、ある程度のリスクを考えて目標を設定する方式。この方式は簡易で分かりやすいのですが、計画の達成確度が評価ができないという根本的な欠陥を持っています。
図S-1 予測シミュレーションイメージ
図S-2にシミュレーション手順を示します。
図S-2 シミュレーション手順
シミュレーションに使うモデル式は複雑系理論を基にした式です。
シミュレーションにはこの設定が必要です。変動パラメータは時系列分析の結果を使う場合と、任意に設定する場合がありますが、近い将来の予測シミュレーションには時系列データ分析の結果を使うのが合理的です。
図S-3 パラメータの選定
図S-4は、ある条件でシミュレーションを行った例です。
◆分布変動率(成長率) : 正規分布
◆模擬時系列の初期値 : 1000
◆シミュレーション回数 : 10回
図S-4 シミュレーション実行例
アウトプットは目的に応じたグラフとして表示します。
◆図S-5は、シミュレーション10回分の模擬時系列データ発生例です。
◆図S-6は、図S-4と同じ目的の100回のシミュレーションで発生した時系列データを、各年断面(3年、5年、10年)で大きい順に並べてランキングデータとして分析したものです。将来予測の範囲を示しています。
◆図S-7は金融シミュレーションで発生させた模擬時系列データのうち、模擬金融チャートです。
図S-5 模擬時系列データ
図S-6 模擬時系列データの
ランキング分析
図S-7 模擬金融チャート
目的に合った適切な評価方法を都度検討します。定量的な評価、直観的なパターン評価、ある評価方法に基づく専門的な評価など、さまざまな方法が有ります。
計画の達成度を定量的に評価する方法です。
この例では、目標値3000以上の達成確度は、3年後はゼロに近く、5年後でも約10%で非常に困難、10年後なら確度50%以上と判定されます。
図S-10 定量的評価例
事業構造変更(受注構造など)のビフォー・アフターを確認するには直観的なパターン評価が有効です。
図S-11 パターン評価例
金融データのように専門的な場合は、専門の評価指標で確認します。
この模擬チャートで実際のチャートに現れる特徴的なパターン特性(トレンドライン、三段上げ、ボックス圏など)が全て確認できます。
図S-12 専門的評価例