御社のデータを分析すると、さまざまな法則性が見つかります。
図In-1 企業データの法則性
CARPESアナリシス(データ分析とシミュレーション)で得られた法則性から、新しい種類の疑問がすぐに湧きます。ランキング分析例で説明します。
図In-2はC社の事業構造分析の一部です。ここから、従来の分析(棒グラフ)では
◆A領域が最大の事業領域、且つ他の事業部門を圧倒的に引き離している。
◆2012年度と2014年度の比較で、A、Bは増加、C、Dは減少、E領域は横ばいである。
◆A領域の伸びが特に大きい。
図In-2 C社事業構造分析
しかしこれを図In-3のように対数グラフで表わすと以下のことがすぐに見てとれます。
◆2012年、2014年ともにほぼ直線に沿ってデータが並ぶ。
◆2012年度の直線はほぼ45度の角度であるが、2014年度の直線は45度より大きい
◆直線が右回転しているように見える
図In-3 C社事業構造分析(対数グラフ)
ここから以下のような疑問が直ぐに湧きあがります。
◆なぜ直線に沿ってデータが並ぶのか?
◆この角度は経営が意図した通りの角度なのか?
◆直線が回転するということはどういうことなのか?何が直線を回転させているのか?
◆平行移動することはあるのか?あるとすればどのような場合か?
◆競合他社はどうなっているのか?
◆他社(競合他社、顧客)はこの直線を知ってマネジメントに使っているのか?
この疑問は従来の常識から理解するのは困難です。新らしいものの見方を導入して初めてわかるのです。
図In-3からだけでは、なぜ直線に並ぶのか?という基本的な疑問は解けません。いくつかの分析を続ける中から得られる洞察例を説明します。
図In-4はA業界の売上高ランキングデータです。45度直線の周りにデータが集まっています。業界ランキングは相互の競争の結果としてデータが秩序化されるのは明らかです。
ここからの類推で、図In-3の直線は、
◆社内で事業領域同士が競争しているからではないか?
◆2012年度の直線の角度は業界Aの直線と同じように45度に近いので、似たような競争関係にあるのではないか?
という洞察(もはや気づきの域を超えています)が得られます。
図In4 A業界売上高ランキング(再掲)
A業界のランキングの45度は、実は熾烈な自由競争の結果なのです。すると、C社の事業領域同士も社内で熾烈な競争をしているという見方ができます。
何が社内で自由競争をしているのか?これを掘り下げていくことから新たなマネジメントの方向性がみえてくるのです。これは各社で事情が異なりますので、個別に検討するしかありません。
ショミュレーション過程でもさまざまな気づきや洞察が得られます。図In-6は、開業から一定時間経過後の100社業績比較のシミュレーション例です。このグラフから以下のインサイトが得られます。
◆自由競争は時間経過とともに大きな格差を生む。
これは経験的に理解されていることであり、シミュレーションで初めて分かったということではありません。しかし、下記のインサイトはシミュレーションで始めて分かる洞察です。
◆自由競争は格差を理論的に発生させる。
すなわち、経験で知っていることが理論的に確かめられるということです。
図In-5 シミュレーションで見られる自然な格差発生と拡大
得られた法則性は図In-6のように階層構造となっています。個々の法則性がこの階層のどこかに位置付けられることもあれば、この階層全ての情報を内蔵している場合もあります。ここから新たな洞察が得られます。
図In-6 法則性の構造
法則性は、企業活動が「複雑系」と呼ばれるものの一種であることから出てくるものです。複雑系を理解すればさまざまな現象が統一的な見方で理解でき、そこから深い洞察が得られます。CARPESは複雑系理論に基づくメソッドです。
図In-7 複雑系が作る法則性
オフィス創発企画は皆様が複雑系を平易に理解するためのプログラムを用意しています。